入歯の安定性を求めたいが残っている歯が少ないので安定しない。通常のクラスプ(入歯のバネ)だと見た目が悪い、あるいは安定性が悪い場合には最も適応するタイプの義歯です。 片方の顎に2-4本でも歯が残っていると非常に効果的です。通常の歯を残してバネをかけるタイプよりも審美的でかつとても安定します。

義歯用のマグネットは残存歯と義歯の両方に取り付けた特殊な装置です。どこが特殊かと言うと、通常の磁石だとその磁力線は曲線を描きます、そのために口の中に通常の磁石が入ると食物中の鉄分を吸着してしまうのですがマグネット義歯用のものは磁力線が並行で磁石面でのみ作用するかなり特殊な技術に支えられた装置で、そのようなことが起こらないようになっています。そのために磁石はほとんど汚れず快適に使用することができるようになりました。 メーカー的には磁力の経年変化による減衰(吸着力の喪失)はほとんど無いとされていますが、私の臨床経験的には病院などでMRI撮影時に装着していたり、義歯自体の安定性が悪くマグネット義歯であっても動きが絶えず存在している場合などでは、磁力が落ちて能力が落ちた症例をもっています。ただ、こうした症例ではマグネットの義歯装着部分の交換でまた元の吸着力を取り戻すことができます。